
ロードバイクを始めて一番幸運だったと思うことの1つに、パワーメーターの普及と重なったことがあります。パワメのおかげで、ただガムシャラに走るだけでなく、ライドを客観的に見ることができ、練習も楽しくなりました。
だがしかし、いろいろなパワメを使い回して思いました。この人(パワメ)、それぞれに適当な値を出してきますね(-_-;) メーカーやモデルが違うと、異なる値が出るのは当たり前。それだけでなく、同じパワメでもインドアと屋外実走で違う値が出てきます。えぇ、同じパワメなのにインドアvs.アウトドアで違うってどういうこと!? あるんですよ、そんな恐ろしいことが本当に(-_-;)
インドアとアウトドアで同じパワー出せると思っていませんか?
実走を多くする人ならきっと経験したことがあるはずです。「屋外実走ヒルクライムのほうがパワー出るんだけど」ということを。ローラーだとどんな頑張っても10分270Wがやっとなのに、ヤビツだと20分270W出せちゃいましたとか、そんな話です。
インドアとアウトドアのパワーを比べちゃいました
実走のほうがインドアよりパワー出せる(インドアのほうが出せない)という疑問を正面から取り扱った実験がありました。それが「Differences in Performance Assessments Conducted Indoors and Outdoors in Professional Cyclists」という論文(⇒出典)。これを噛み砕いて分かりやすくまとめてくれた記事がKnowledgeiswattに掲載(⇒参考)されています。
実験には13人のプロ(WTとコンチネンタル)が参加し、1分+5分、3分+14分をそれぞれインドア(Tacx NEO)と実走(2~3%の坂道)で比較。パワーはRotorのINpowerで計測しました。
インドアと実走のパワー、全然違うじゃん(゚Д゚;)

その結果はご覧のとおりです(↑の画像はKnowledgeiswattのツイッターから)。インドアと実走でかなり差がありますね。5.2~9.6%も異なる、しかもプロレベルですから、相当な違いと言えるのでは!?
この結果をもって、論文では以下のように結論づけています。
These findings suggest that maximal power testing in indoor and outdoor settings cannot be used interchangeably. Furthermore, there was substantial individual variation in the difference between indoor and outdoor maximum mean powers across all time durations, further highlighting the difficulty of translating results from indoor testing to outdoor on an individual level in elite populations.
[抄訳]
①インドアと実走のパワーを同等に扱うことはできない。
②インドアと実走のパワーの差には顕著な個人差があった。
③インドアのパワーをそのまま屋外で使うのは難しい。
インドアと実走(レース含む)はそんなに違わないけど?

上記の論文に対する反証もあります。「Comparison of mean maximal powers measured in indoor and outdoor tests and recorded during training and competition」という論文で、Journal of Science and Cyclingに掲載中(⇒出典)。
実験では、僕らのような(詳細不明)なアマチュア・サイクリスト7人を対象に、①インドアでのテスト、②実走でのテスト、③レース、④普段のトレーニングの4つの項目で平均最大パワーを比較。
その結果、「インドアと実走でのテストに顕著な差は見られなかった」「実走でのテストとレースでも顕著な差は見られなかった」とし、「15秒~1,200秒(20分)のパワー(MMP曲線)はインドアでのテスト、実走でのテスト、レースでの値、どれを使っても良い。ただし、普段のトレーニングデータは使うな」と結論付けています。
という訳で、最初に挙げた論文とは相反する結果でありますな。だがしかし、ここで気を付けたいのが、被験者であるアマチュア・サイクリストの計測方法。肝心カナメのパワーメーター、被験者個人の所有物でメーカーもバラバラ(Sram Quark、Rotor 2-inpower、Assioma Duo、Garmin Vector)なのねん。。。(・_・;)
計測前にメーカー指定の方法でキャリブレーションしたそうですが、どうなんですか!? 被験者少ない(こればかりはしょうがないとしても)し、普段のトレーニングと比べる意味もよく分からないし、少し大雑把な印象を受けるのは気のせいでしょうか!?
マイ峠を持とう!
インドアと実走で違うという人がいれば、「そんなことないですけど」という人もいたりして、ドッチを信じればいいのやら? そもそも、メーカー違いで異なるパワーが出てくるワタクシは、インドアvs実走に、メーカーごとのバトルまで加わって、もはや誰も・何も信じられません/(^o^)\
パワメ全盛の今だからこそマイ峠を持つことの大切さを噛みしめています

パワメの普及・民主化の恩恵をモロに受けたおかげで、これまでロードバイクを楽しめていると思います。ただ、それはパワメに振り回されることの連続でもありました。
あっちのパワメで何W、インドアだったら何Wとか、上振れしたり下振れしたりに一喜一憂。数値が気になり出すと、葉を見て木を見ず、ましてや森は見えません。
だからこそ、信頼できる計測ポイントをいくつか持つのは大事なんだと思います。一つはお手持ちのパワメであるならば、もう一つはお近くの山々など。パワメが信じられなくても、山は裏切ることはありませんからな。マイ峠、大事だわ。パワメ過信すると絶対痛い目見るもん(⇒見てきた人)。
以上、そのパワーメーター、インドアとアウトドアで異なるパワーを出していませんか? ロードバイクに必須のパワメはどこまで信頼できるのか? なお話でした。富士ヒルや赤城山が目標なら実走のデータを信頼するのが一番ということでありますな。えぇ、ZWIFT専科の人はどうするのかって!? どどど、どうしよう:(;゙゚”ω゚”):

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