
突然のハンドル幅規制に続き、UCIが「ライダーセーフティー」を掲げ、矢継ぎ早に機材に制限をかけようとしているようです。この度、新たに浮上したのがギアレシオ規制。ジャーナリストの Daniel Bensonさんのすっぱ抜きで明らかになったこの規制、問題は使用できるギア・・・だけでなく、タイヤ幅に関わるものらしい。ギアレシオとタイヤ幅にどういう関係が?? というお話を追っていきます。
UCIはギアレシオも規制したいようです。
選手の安全が最も大事なのは言うまでもないですが、それにしてもUCI、結構な勢いでガンガン規制をかけてきますな。それだけ(安全性を損なうほど)機材の進歩・進化が著しいのかもしれません。
ギアレシオは10.46mまで

ハンドル幅(など)の規制は決定事項ですが、それにプラスして今年の8月1日から新しい制限をテストするそう。それが「最大ギアテストプロトコル」で、一部のワンデーおよびステージレースに適用されるもの。個人またはチームTTは適用外で、集団レースのみが対象となるようです(⇒出典)
「最大ギアテストプロトコル」はその名の通り、最大ギアに制限をかける内容です。具体的には、「最大ギアレシオはペダル1回転の距離が10.46mまで」という、何ともパッと見、分かりづらいもの。10.46mのギアレシオってどれくらいやねん??
54-11はOK、54-10はアウト

よくあるコンポで単純計算(ギアレシオの計算サイトで計算してね)すると、10.46mになるギアレシオはフロント54T・リア11Tでピッタリカンコン。
例えばフロントが55T(リアは11T)になると10.65でアウト。フロントが54Tでもリアが10Tだと11.50で、これまたアウト。
要は、プロが使えるギアの最大は54-11までということ。どうしても10Tを使いたいならフロントは49Tまで下げないといけません。
ギアレシオにタイヤサイズも関係あるのかい?
問題はここからだよboriko君。ギアレシオは単純に前と後ろの歯数で決まるけど、今回の規制はそこダケじゃないんだ。なんと、タイヤサイズも影響あるんだと。なんで?
鍵は「ペダル1回転に進む距離」
今回のテスト規制がフロント・リアのギアだけでなく、タイヤサイズにも関係することがCycling Newsに分かりやすく書いてありました。UCIのテスト規制で「the maximum gear ratio of the chainring and cassette to a distance covered per pedal revolution of 10.46 meters or an equivalent of 54 x 11(チェーンリングとカセットの最大ギアレシオはペダル1回転に進む距離10.46m、54×11相当までとする)」と明確に書いてありまして、ペダル1回転に進む距離がどうやって計算されるかというと
Development = drive wheel circumference in metres x (chainring teeth/rear sprocket teeth)
移動距離 = ドライブホイール外周(m)×(チェーンリング÷スプロケット)
つまりは「ドライブホイール外周」もしっかり変数に入ってきて、ココが変わるとギアレシオも変わってしまうのであります。
30Cだとギアはさらに小さく

ここで何を隠そう、前述の最大レシオ54-11は28Cで計算されたもの。28Cは確かに現在主流のタイヤサイズでありますが、最近は30Cや32Cなど、よりワイドなタイヤが投入されることも増えています。
で、問題はタイヤがワイドになればなるほどホイール外周も広がること。28Cで54-11が上限だったのですから、これが例えば30Cになると・・・
54Tアウトー! (リア11Tの場合)53Tまで下げないと今回の規制値10.46mをクリアできません。リア10Tの場合はフロント48Tだよ!? フロント48Tって・・・
ちなみに貧脚boriko君のベンジ、リア10Tでフロントは46T。これと近しい歯数になってしまったら、プロでは足りなさすぎるのでは(・_・;)
ワイドなタイヤを諦めるかギアを諦めるか、さて困った。特にタイヤ幅は安全面でメリットがある気がしますで、そうするとギアを捨てるか??
ハンドル幅に続き、かなり厳しい選択を迫る改革が続いておりますな。どうなることやらプロ自転車レース。ちなみにハンドル幅規制の繰り返しになりますが、富士ヒルガチ勢には(今のところ)一切まったく関係ないお話。僕らは目指せ、(イギリスのヒルクライム大会のように)夢の超軽量3kg台バイクでありましょうか?
以上、ロードバイクはまだまだ規制されるよ! ギアレシオの規制かと思ったら、実質タイヤサイズの制限で、機材の進化はこれからどうなる? なお話でした。
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