ツールドフランスを題材にした小説『スティグマータ』を読んでみた!

現在、絶賛開催中のツールドフランス! 世界屈指の大イベントに呼応するように、日本でもツールの映画が公開されたり、本が出版されるなど、盛り上がりを見せています。という訳で、まずはツール関連の小説『スティグマータ』を読んでみたよ!
『スティグマータ』はどんな小説?
『スティグマータ』の作者は近藤史恵。探偵モノが多い女流ミステリー作家さんですが、ロードバイクの小説『サクリファイス』で大藪春彦賞を受賞するなど、分野が多方面ですな。
『スティグマータ』はミステリー小説?

『スティグマータ』はツールドフランスに出場する日本人(白石誓:シライシ チカ)の目線からレースと選手を見た小説。『スティグマータ』(と近藤史恵さんの一連の作品)を読んでみて真っ先に感じたのは、「ミステリー小説みたい」ということ。初期作品の『サクリファイス』や『エデン』ではその特徴が色濃く、自転車を舞台にした謎解きという感じでした。
サイクルロードレースへの深い理解が染み渡る

『スティグマータ』もその系統を受け継いでいるものの、サイクルロードレースのレース中やレース前後の描写がとても克明で緻密になっています。きっと、相当取材を重ねたか、本人も自転車レースを経験されているのでしょうか。とにかくとても自転車のことを調べ理解し、それを分かりやすくかみ砕いて小説に落とし込んでいます。
スティグマータが意味すること
『スティグマータ』はラテン語でしょうか? Stigma(スティグマ)で訳せば「汚名」、ラテン語なら「聖痕(十字架状の傷)」となりますが、はてさて本書ではどういう意味なのか??
(汚れた)英雄の復活劇
『スティグマータ』、想像しますにランス・アームストロングの2009年の現役復帰を下敷きにしているでしょうか。ドーピングで追われた人の復活劇。誰もが持っている自分の「歴史と物語」が恥辱(スティグマ)にまみれたとき、どうやってその汚名(スティグマ)と向き合い晴らそうとするのか。最初、「風呂敷広げ過ぎでは!?」と心配しちゃう展開でしたが、さすがまるっと回収しています。ぜひツールのお供にご一読を!

全然関係ないですけど、メネンコ(『スティグマータ』に登場する元英雄)は映画『スーツケースの渡り鳥』に出てくるザンコーニで再生されておりますf^^;)
ドラマの中にこそ楽しさがある
ワタクシは自他ともに認める貧脚で立派な中年ですが、この年齢になって自転車にどハマりしてしまいました。その理由は(自転車に限らずですが)ドラマがあるからだと思うのです。
参加者としても観客としても

プロのサイクルロードレースはほんとドラマティック! 昨日(7月14日)のツールもエラいことでした(;´Д`) 一方、アマチュアなワタクシたちでも草レースに出たり、各々自分のベストに挑戦したりと、これまたドラマがいっぱい。自分が主役で本物の悪戦苦闘(レースでビリになったりローラー台や坂でヒィヒィ言ったり)を体験できるなんて、そりゃあ楽しいに決まってます。
ただ、その一方で、分はわきまえないといけないと思ったり。ドラマですから、しかるべきところはしかるべき人が中心でないといけません(;´Д`) えっ何の話をしてるのか分からないって? ツールは観るの楽しいけど、主役は観客じゃないよ~と言いたいだけなのです(自分も肝に銘じておかなければ)。
観客のコントロールが効いていない状態だった。レース会場に来てその場を楽しみたい気持ちはわかるけど、選手と一緒に走る必要もないし、選手と接触したり背中を押す必要もない。どうして終盤にフェンスが設置されていなかったのかは分からない。観客の99%は素晴らしいけど、中には並走してセルフィーを撮ろうとする観客もいる。情熱と馬鹿げたことを混同してはいけない。
出典:ツール・ド・フランス2016第12ステージ選手コメント フルーム「救済は正しい判断」デヘント「残るステージ優勝はブエルタだけ」
という訳で、リッチー・ポートの昨日のコメントを引用して、本日はお終い~。7月18日は自分たちが主役になってヒィヒィ言いに行くのだ! CSC5時間、がんばるぞっと( ・ㅂ・)و ̑̑